家づくりの疑問解消FAQ FOR BUILDING A HOUSE
設備・間取り
「陽当り」や「風通し」はどのくらい設計に影響しますか?
設計の出発点は「敷地を知ること」
設計士が設計をする際に特に気にするのが建設地の立地です。建物が建つ場所の環境がどうなのか、隣地建物との位置関係、地質や地盤の状況など設計に必要な様々な情報が必要だからです。これは、一般的に「敷地調査」とか「環境調査」とか言われているものですが、これらの情報を得ることでより良い設計をすることができるのです。
設計士は施主の設計要望と敷地調査の情報から設計を始めていきます。
住宅設計の中でポイントとなる一つが住環境であり、可能な限り自然環境も上手く取入れるような間取りを考えます。そこで重視するのが「陽当り」や「風通し」です。
特に日本には四季があり、「陽当り」や「風通し」が季節によっても変わりますから、それらを考慮に入れた間取りを考えるのです。
敷地条件が大きく影響する設計とは
「陽当り」や「風通し」を重視する設計の一つに「パッシブ設計」と言うものがあります。
「パッシブ設計」は太陽の光や自然の風などのエネルギーを最大限活用し、快適で省エネルギーな住まいを実現する設計手法のことで、建物の形状、窓の配置、断熱や気密などを工夫し、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な室内環境を目指します。この設計は光熱費を軽減し、光や風を感じれる住環境を生み出しますので、健康で快適な生活を実現できると言われています。
お尋ねについては、先に述べた「パッシブ設計」的なものを望まれるなら大いに影響すると思います。
自然環境を生活に取入れた設計を望む方は「陽当り」や「風通し」は大事なポイントになるからです。条件によって、建物の形状、開口部の位置や大きさ、屋根の形や庇の深さ、部屋の配置など考えていくようになりますので、間取りにも大きく影響してくると思います。
一方、「高気密・高断熱」、「防犯性」を重視するような設計や、コストを極力下げることを追求する設計、プライバシー重視で中庭を設けるような設計であれば、「陽当り」や「風通し」は重視することなく目的が最大化する設計になりますから、大きく影響するということはないでしょう。
住宅設計は「住む人が住まいに何を求めるか」で変わります。
施主自身がどのようなライフスタイルを実現したいのかをしっかりイメージすることが大事です。そのためにも、設計士と話し合いを重ね、考えをまとめることが大事だと思います。
教えてくれた人
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宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター 住まいコンシェルジュ
中川 雄二
住宅産業に従事して30年。2006年にはエンドユーザー向けに「住まいづくりのコンサルティング」をおこなう会社を立ち上げました。私が得た知識と経験を皆さんの住まいづくりにどうぞ生かしてください。
2025.10.19 掲載